【初心者 練習】初めて買うアコースティックギター5つの条件

ギターコラム

ギターを始めるにあたってみなさんまず悩むのがギター本体のこと。
ギターを弾きたい、習いたい、でもギターを持ってない。
でもでもギター弾けないのに、ギターを選んで買うことなんて不可能でしょ?

そうですね。ギターの音の響きの違いはギターを弾きながら覚えていくものです。
なんの予備知識もなくギターの経験もないのにギターを買うのは怖いことです。
楽器屋さんのことも信用していいのかわからないですものね。
3万円のギターをすすめられたけどボッタクリなの?安いの?分からないですよね。

そんなあなたに今までトータルで50本アコースティックギターを所有してきた私が
最初に買うべき一本を絞り上げてみせます。ご覧あれ。

まず買ってはいけないギター。
ネット通販の「初心者セット」
チューナーもスタンドもケースも全部セットになって、なんと2万円!
確かにお買い得ですが、ギター本体だけを見ると、やはり安かろう悪かろう、です。
初心者だから弾く練習ができればいいじゃないか!ということなんでしょう。
100歩譲って、セットのギター本体のメーカーがYAMAHAなら、まあいいかも知れません。
この記事を最後まで読んで、それでもそのYAMAHAのセットが恋しいならどうぞ。

ギター本体が1万円ほどで大量にネットでも楽器屋さんでも売られている色とりどりのギター。
ヘッドに「PHOTOGENIC」とか「S.YAIRI」とか書かれていたら、それはやめておきましょう。
「S.YAIRI」でも3万円以上するギターはコスパの良いものです。(後で見分け方を説明します)
ちなみに「K.YAIRI」とは全く違うものです。「K.YAIRI」は純国産職人の手作りのメーカーです。
2本目、3本目、ギターに本気になったらぜひ「K.YAIRI」のギターも手に入れてください。

ギターのサイズはトリプルオー

さて、まずはサイズです。ズバリ「トリプルオー」サイズに絞りましょう。
これがトリプルオータイプです。(OOO)←Oオーが3つ

女性にもちょうど良いサイズです。
普通によく見るタイプがドレッドノートサイズ

向かって右の大きいのがドレッドノート(マーチン基準。ギブソン基準だとJタイプ)
真ん中がトリプルオー。左の小さいのがシングルオー(ニューヨーカーとかパーラーとか呼ばれる)
微妙な違いに見えるでしょうが、弾き心地は大きく違ってきます。
ボディの厚みもドレッドノートよりトリプルオーは薄くなります。
なかなか説明は難しいのですが「四の五の言わずトリプルオー」です。

ネックは厚くもなく薄くもなくスタンダード

次に左手で握ることになるネックで選びます。

指先が押さえているところは指板(しばん)。それを支えている棒?がネックです。
この写真はネックを握って指板を指先で押さえてるって図ですね。
よく楽器屋さんで試し弾きをしている人を見かけます。
あれは音の良し悪しを弾いて確認してる、というよりはネックの握り具合を見ている割合が強いのです。
初心者の人の常套句「私は指が短いから」というのがあります。
そこに付け込んで楽器メーカーや店員は「初心者や女性に向いてる薄いネック」のギターをすすめてきます。
私の経験上「指が短い」を自称している人で本当に指が短い人は一人だけでした。何十人も「指の短い」という人の中でほぼ全員が普通の長さでした。
だから普通のネックの厚みが程よいのです。写真のように親指を6弦側(ネックの上のほう)から無理なくピョコンと出せればOKです。
ということで「サイズはトリプルオー、ネックは普通で」
お次は

表板は単板で

ギターを楽器屋さんで物色して、見た目は同じなのに値段の桁が違う!なんてことありません?
例えばマーチンのトリプルオーでスタンダードと言われている「28」タイプは相場で30万円ほどします。
同じ見た目のこのアリアのギターは

2万5千円です。
いやいやもっと安いのを見たことがある?ええ、あります。新品で8千円のもあります。
見た目は同じです。

何が違うのでしょう?
それは単板(たんぱん)か合板(ごうはん)かの違いです。
表の黄色い大きなトップ板、それを立体的に覆っているサイド板、裏のバック板
それぞれが単板か合板かというのがギターの音を左右する大きなポイントなのです。
安いのは「合板」のほうで、分かりやすく言えば「質の良いベニヤ板」。薄い板を何枚か重ねて加工しやすく頑丈な合板にします。日本製の1970年ごろからのフォークギターは殆どが総合板です。

一方「単板」はその名の通り1枚の板で作られてます。材の種類によって音が微妙に変わって来ます。
トップはスプルース(杉)で間違いないです。
サイドとバックはマホガニーかローズウッドかは好みによります。一般にマホガニーは音が柔らかく、ローズウッドは硬い、なんて言われますが、本当に微妙な違いですし聞き分けのできる人は日本に数人もいないでしょう。

こだわるのはトップ板が単板か合板か、だけでよいと思います。1本目ですから。
2本目、3本目からはどうぞ存分に他の点もこだわってください。

表から見ただけではプロだって一目では分かりません。
が、単板か合板かの違いは、私でも音を聞けば分かります。一言でいえば単板は豊かな音がするのです。
合板は倍音の鳴りが乏しく、低音はポスんポスん、高音はキンキンと聞こえます。
単板は、低音はブンブン、高音はキュンキュンと聞こえます。

最初の一本でトップが単板なのをすすめるのは、ギターを練習しているときに耳に与える影響を考えてのことです。
豊かな低音でベース音の違い、動きを感じて欲しいし、高音の心地いい響きで旋律を感じて欲しいのです。
和音で伴奏がメインですので、音が混ざり合ったハーモニーはやはり単板が良いに決まってます。

ここ10数年のギターメーカーの動きで高価だったトップ単板モデルがお値打ちに出回るようになりました。
上記の2万5千円定価のアリアのギターはトップ単板です。
(ちなみに大きいドレッドノートの茶色のギターはオール単板モデル。さすがに20万円は超えます。
小さいシングルオーのギターは定価8000円ほど。オール合板です。)
というわけで
「サイズはトリプルオー、ネックは普通、トップだけ単板で」
これだけ絞り込めば、ほどほど良いギターが選択肢に浮かび上がってきます。
中古で1万数千円から。新品なら2万数千円からあります。

メーカーは有名ブランドで

それでもまだ絞り込めない方にヒント。メーカーで絞りましょう。
日本の昔からギターを作ってるメーカーは堅実です。
モーリス、ヤマハ、タカミネ、アリア、ヘッドウエイ、K.ヤイリ.、寺田楽器(VG)
で上記の3つの条件に当てはまるもの、予算内(それぞれ)のものなら、迷わず買いましょう。
黒沢楽器や島村楽器のオリジナルブランドもなかなかコスパも良いです。
「石橋楽器の自社製」と「エピホン」はちょっと危険です。
ギターのことが分かるようになって手を出しましょう。(私の経験則です。悪しからず)

ピックアップはついてなくても全然OK

ピックアップ(ケーブルでアンプスピーカーにつなげて鳴らせる。エレアコ)が元から付いているギターは最初の1本としては不向きです。大抵予算内のものは合板です。ピックアップの原価だけでも相当しますから。
逆にピックアップが付いてて安いものは、もう胡散臭さぷんぷんです。
練習は生音でやりますよね。やっぱり生音が良いのが音楽の耳を育てます。
もしあなたがライブミュージシャンになったとしたらエレアコなりピックアップ付きのギターが必要になるでしょう。それはその時に考えましょう。
今まで書いた条件に当てはまるギターなら、後でピックアップを増設すれば充分ライブ用のギターとして活躍できるはずです。

↑この3本とも後付けのピックアップが装着されてる。

ライブをやれるまでになったときにはオール単板の数十万円のギターが欲しくなってるかもしれませんがね、ひひひ。ギター沼にハマるかどうかはアナタ次第。

次回はネットオークション、楽器屋さん、ネット通販での買い方、の巻。

 

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