ギターを習いたいと小学生のお子さんがやってきます。
小学生は過去数十人ほどではあるけど教えてきました。
たいていはサンタさんからのクリスマスプレゼントか
家族やか親戚からプレゼントされたもの。
そのギター、お子さんは弾けるようになると思いますか?
正直、アコースティックギターならば可能性はとにかく低いです。
100人に1人にもならないかもです。
ではその理由を列挙していきます。
挫折する理由
家庭内でギターを弾ける人がいない
ギターはあるけれども誰も弾き方がわからない。
ミニギターを買ってしまう
お子さんは手が小さい(指が短い)から。
カラダが小さいから。
そして高価なギターはもったいないから。
ミニギターはサイズも小さいし、価格が安い。
新品で1万円しないものが出回っています。
なんの忖度もなしに断言するならば、
1万円しないミニギターは楽器ではなく「おもちゃ」です。
おもちゃの音では耳が育ちません。
ギターは「音を出す」まで10時間の訓練が必要
チューニングから壁として立ちはだかる
チューニングは6弦からE A D G B E です。
ペグ(糸巻のつまみ)を回して音を緩めて低くして
絞って高くして調節します。
ね、この段階で無理そうでしょ?
チューニングに年齢は関係なさそうですが、
まずアルファベットの順序を把握してないと
「今はDと表示されてるからEにするにはもう一つ高くしなきゃ」
(実際にはD#が待ち構えていますが(笑))
なんて大人ならわかるでしょうがお子さんには難しいでしょ?
緩める締める、音が高くなる低くなるも分からないです。
弦を押さえると指が痛いです
これはミニギターだろうが同じです。
細い鉄弦を柔らかい指先で押さえると痛いです。
最初は痛くなくても10分も押さえ続けていれば痛くなります。
もっともこの痛みはギターを練習し始めて1~2か月のことだけなのですが
これを小学生に乗り越えられるでしょうか?
弦を押さえるのは利き腕ではない左手です
世の中右利きの人が多いので売っているギターは右利き用がほとんどです。
利き腕じゃない左手で弦を押さえます。
日ごろ使わない薬指や小指も使います。
当然最初は指が思い通りに全く動きません。
また自己流では手首の位置が違ってしまうと
3~4本の弦を同時に押さえる和音を押さえるのは無理です。
素早くコードチェンジは初歩
コードチェンジができて初めて「曲」になります。
パッパッとコードを押さえかえるようにならなければなりません。
これができるまで毎日30分の練習で30日かかります。
利き腕とはいえピックでストロークはすぐにはできない
左手で弦を押さえるのと同時に右手はピックを握って弦をはじかなくてはいけません。
左手で押さえた和音でリズムを刻むのです。
ダウンストロークは簡単、すぐにできるかもしれません。
でもアップストロークはこれまた訓練が必要。
やはり1日30分の練習で1か月はかかるでしょう。
たかが1か月されど1か月
コードチェンジ(左手)とストローク(右手)は
1日30分の練習で1か月と書きました。
子どもは模倣力と体の記憶力がとても良いのでこのくらいです。
大人になるとこの3倍はかかります。
じゃあ1か月頑張ればいいだけじゃん。乗り越えられそう。
なんて思うでしょう?
でも、ギターって最初は音が鳴らないんですよ。
「ぎゅふぶばん」「ききん」「がぎががが」
って感じ。
1日30分で20日間はこれが続きます。
左手も痛い、右手も全然思うようにストロークできない。
つまり全然楽しくない。
こんな楽しくないことが30分を30日も続けられますか?
それは親御さんがよくわかってると思います。
もちろん例外もいますよ。それも親御さんがわかると思います。
ちょっと変わったお子さんかもしれませんね。
かくいう私も、習い事(スポーツ、習字)は続く性質。学校も皆勤。
ギターも小学4年生の時に母に習って数十年続いています。
でも周りを見渡してもそういう性質の人はそうはいません。
やはり「例外」です。
解決策はピアノにあり
身も蓋もないけれども「ピアノ」は小学生のお子さんにはとても良いです。
クラシックピアニストにするわけでもないでしょうから、「気楽なピアノ」です。
電子ピアノで十分です。
YAMAHAにROLAND、KORG、CASIOと選び放題。
88鍵のフル鍵盤で横幅130cm。ギターより20cm長いだけ。
重さは以前は20㎏あったのが最近では10㎏強のタイプも多く出てきました。
そして意外と安い。
安いものは2万円から、個人的におススメのものでも40000円台からあります。
ピアノはチューニング不要
電子ピアノはチューニングの心配はいりません。
ちゃんと世界共通の音階がなります。
指は痛くならない
上級者ともなると指に負担のかかる奏法もありますが
小学生の子がドレミファと鳴らす分には安全です。
コード伴奏を目指すなら独学でもいける
アコースティックギターはコード伴奏をやるのがメインの楽器です。
和音でリズムを刻む。
もちろんこれはピアノでもできるのです。
しかもギターよりも簡単に。
ギターは和音によっては無理やりな押さえ方をしなければ
押さえられないことがあります。
でもピアノは基本的なコードは押さえるのに必死になることはありません。
視覚的にも和音の仕組みが分かりやすいし、
音も奇麗になるので音楽耳が成長します。
アプリで楽しくゲーム感覚なら続く
私は人生ギター一直線だったのですが、
数か月前ピアノレッスンアプリでピアノを始めました。
「SimplyPiano」というアプリです。
中古のiPadで使いました。
3か月でコード弾きコース(左手ベース音、右手でコード)は卒業し、
それからは自分でコードの数や弾けるリズムを増やしたりして楽しんでます。
もちろん、音符を読みながら弾くコースも充実しています。
ときどき私もそのコースを挑戦しています。
左手がコード、右手でメロディ、苦戦していますが楽しんでます。
正直コード弾き(左手ベース音、右手コード)で十分です。
そして歌いましょう。弾き語りです。楽しい!
ピアノは他のあらゆる楽器の役に立つ
ピアノで音を鳴らすことを1年もしていると、自然と相対音感が身に付きます。
音の高低の距離感(インターバル)がつかめるようになります。
和音の響きの違いが分かるようになります。
和音の流れ(コード展開)がわかるようになってきます。
これは少なくとも「ギター」には大いに役に立つスキルです。
そもそもギターは最初に頑張って基本を習得しても、それはスタートです。
その時点では全然音の違いは分かってないでしょう。
まともな音を鳴らせなかったわけですから。
ピアノをアプリででも1年だけでも触っていれば、ギターもあっという間に上達します。
歌の基礎もできている
音符が読めるようにピアノも練習していれば、音符と実際の音が頭で結びつきます。
これは他のあらゆる楽器や歌唱にも役立ちます。
音符を見れば知らない歌でも歌える、ドレミファで頭の中で鳴らすことができる。
これはギターしか弾けない大人たちが喉から手が出るほどに欲しいスキルです。
ハモりだってできるようになる
人の歌に合わせていきなりハモりを合わせることができる。
そんな人いますよね。たいていそういう人たちは子供の時のピアノ経験者です。
「じゃあ3度下でハモってね。サビは3度上、時々5度下で」なんて意味が分かるようになるのです。
あれ、音符を見てハモってるんじゃなくて主旋律の歌に即座に合わせてるんです。
すごいでしょ?でもピアノをやっていればできるようになる確率は高いのです。
ギターだけの人は無理かな?せいぜい3度上でハモれるくらいが関の山でしょうか。
というわけでサンタさん、前途有望な子どもたちにはピアノをプレゼントしてください。
ギターは自分が高校生になってアルバイトしたお金で買うのが正当な道ってもんです。
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