バー開業を志す人は「組織の中での仕事が合わない」という性質を持っている場合が多いようです。実際、私もそうでした。単なる「社会不適合者」とか「コミュニケーション障害」などではなく、以下の点からです。
他の人の意見と擦り合わせて進めていくのが面倒
会社では毎日のようにダラダラ会議。自分の中では進行する方向はとっくに決まってるのになかなかそちらに進めさせてくれない。提案し、説得し、役割を振り分け、上の者に報告し、稟議を通して許可をもらい、、、「あーっ!めんどくさーい!」ってなりません?
みんなとやってたんじゃ間に合わない
サラリーマン時代、施工現場(イベントの)によく着いていたのですが、ケツ(期限)が迫っていて明らかに間に合わないのに部下たちはノンビリとやっている。何度も私1人でガガガっとこなして何とか間に合わせるのです。すると翌日、上の人から「お前1人の現場じゃない!ちゃんと部下に指示を与えて一緒にこなせ」とお叱りを受けるのです。
意見が対立するともうダメ
まぁ施工現場でなら「やったもん勝ち」なところがありますからいいのですが、仕事のやり方で反対意見が身内から出ると手に負えなくなります。「対立」ってやつですね。
悪い人間に当たったりしたら
私は20歳代では友人と2人で会社を共同経営していました。会社を立ち上げて3年ほどでその友人はお金を全て持ち逃げして行方不明になりました。買い掛けや家賃の支払い、私の生活など大変な思いもしましたし、裏切られ人間不信に陥りました。
人件費が一番高い経費
その後、なんとか立て直し、懲りもせず後輩をスタッフとして雇いました。給料を充分に払ってあげることが出来ず、向こうの不満が溜まり、数年後辞めて行きました。
サラリーマン時代は私はストレスしかない
精神的に疲れた私は会社を畳みサラリーマンになるのですが、さらに「組織」の中の軋轢は大きくて、最後の方は社長が敵対するようになり、私は辞めざるを得なくなりました。もちろん私にも悪いところはあったのでしょう。でも正直、自分の悪いところの自覚はないのです。
一人経営の小さなバーでの幸せ
ならばもう「組織内での仕事」は懲り懲りです。そして今「1人経営の小さなバーのマスター」で幸せな日々を送っています。
思いついたことは即実行
何かおもしろいイベントを思いついたとします。私の場合、それをスマホのメモに書き留めます。「よし!来週からやってみよう!」チラシをパソコンで遊び半分で作ります!プリントアウトして店の壁に貼り、ホームページで告知します。この過程、ゆっくりやっても1時間もかかりません。なんのストレスもなく。
自覚して改善できる
なにかお客さんに対して不手際があったり、うまく段取りが運ばなくても、他人のせいにはできません。自分のせいです。自覚もあります。だからすぐに改善できます。「今度は気をつけよう」「ここはこうした方がうまくいくな。そうしよう」そういうシンプルなことなのです。
自分がルール
髪の毛を茶髪にしようが、スキンヘッドにしようが、髭を伸ばそうが、ルージュをひこうが、自分が良い!と思ったらそれで良い世界です。自分でルールを決めて、変更して良いのです。生活指導の怖い体育教師もいません。1度茶髪にしてみたかったんだよね。どうぞ!今です!
寂しいときもあるけど
もちろん「組織」で仕事をするおもしろさもありますよね。一緒に高め、褒め合い、達成感を共有したり。1人経営だとそれがないです。でもお客さんの笑顔を直接見ることができます。お客さんの喜ぶ声や笑い声を聞くことができます。
自分の時間はタップリ
どうしても寂しければ、バーのマスターは遊べる時間はたっぷりと持っています。緊急事態とかクレーム処理とかで携帯電話がなることもありません。そして自分でスケジュールを決めることができます。何かサークルに入って仲間と趣味をやったり、習い事を始めたり、と仕事に関係のない人との触れ合いはいくらでも可能です。趣味や習い事で得たことは即「運営」に役立ったりします。
インターネットで知識もスキルも補える
「組織」ですとお互い不足しているスキルや知識を補い合えることもメリットでしょう。でも1人でも大丈夫。大抵のことはインターネットで検索すれば知識は転がっています。動画サイトでスキル習得もできます。スキル習得のために先輩に怒鳴られたり、無駄なスキルを押し付けられたりもありません。自分が習得したいスキルを自分のペースで、それが出来なくたって他の方法を考えればいいですし。
「仲良く夫婦で経営」はマボロシ
夫婦で経営している店も知っています。でも小さくはない20坪はある店です。10坪のバーを夫婦で運営しない方がいいです。運営に関しての意見の食い違いでギスギスし出すと修復は難しいです。お客さんも「なんだ、今日ママさんいないの?マスターだけじゃつまらないから俺帰る」なんて声が出るとモチベーションが下がります。
奥さんをうまく使おう
忙しいと分かってる時、たまに奥さんが顔を出したい日くらいに手伝ってもらう程度が良いでしょう。楽しい範囲で。人件費を払うことになるとまたトラブルのきっかけになりますので、「店が終わってからイタリアンレストラン行こうか?奢るよ、今日のお礼」「えー?イタリアンってサイゼリヤのことでしょ?ワイン飲んじゃおうかな?」くらいにしておきましょう。
以上、1人経営のメリットがお分かりいただけたら幸いです。
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